なにわの怪談師 聞いてみん怪の短編怪談

オリジナルの怪談や都市伝説、不思議な話を発信していきます。

短編怪談 #26 「ちょっと変わったワケあり物件」

ワケあり物件の話って

よく聞くと思うんですけど、

僕が知り合いのDくんから聞いた話は

ちょっと変わってました。

Dくんは学生時代、お金がないので

とにかく安い賃貸物件を探していたらしいんです。

それで、ようやく見つけたのが駅から徒歩2分、

バス停が目の前という好条件の物件。

家賃は1万円でした。

完全に何かあると思ったDくんは

不動産屋に

「これってワケありですか?」と

聞きました。

そしたら「はい、出ます。」と

返ってきました。

不動産屋のあまりの潔さに、

Dくんは驚きましたが

金銭的な事情もあったので、

少し怖いなと思いつつも

ここにすることに決めました。

 


そして住み始めて

3日ぐらい経ったある日の夕方、

インターホンが鳴りました。ドアの方に行き、開けるとだれも居ません。

お!ついに怪奇現象か?なんて思っていたら、

廊下をとんでもない美女が

通っているのを見かけました。

「か、可愛い…」Dくんが

思わず見惚れていると

彼女はそのままどこかへ出かけて行きました。

夜が更け、

「あの子可愛かったな〜部屋近いのかな?」

なんて考えていると

また ピンポーン と鳴りました。

急いで出ると、誰も居ません。

しかし廊下を見ると、

なんとまた例の美女が

歩いていたんです。

今後は帰りなのか、

Dくんのいる方へ歩いて来ました。

またDくんは見惚れていると、

チャリンッと美女はカバンにつけていた

鍵を落としました。

Dくんは咄嗟に「あ、あの鍵!」と

声をかけました。

美女は少し慌てながらも

「ありがとうございます」と

ニッコリ笑って

お礼を言ってくれました。

Dくんはその日をきっかけに

美女とたまに挨拶を交わす仲になり、

だんだんと距離が縮まって、交際し、

今年の冬に結婚するそうです。

 


あのインターホンを

押したのが誰だったのか、

ワケありの部屋と

関係があるのかはわかりませんが

Dくんは

「あの時に僕と彼女を出逢わせてくれたことに感謝しかない」と言います。